昨日の投稿を書いた後「牛タンのランチじゃなくて、積立NISAにしておけばFPらしかったかな。」と後悔しましたが、アレを書いたときには牛タンの気分だったので、修正はしてません。
さて、積立NISAについては現在調べてるので、積立NISAと同じぐらい証券会社が力を入れているファンドラップについて、注意点を書いておきたいと思います。
まずは予備知識として、
(1):個人が特定口座で株式や投資信託の売買をすると「上場株式等に係る譲渡所得等」となります。
でもって
(2):「上場株式等に係る譲渡損失と上場株式等に係る配当所得等との損益通算」により、損失が出たら配当で払った源泉を返してもらえる。
、、、と普通の人は考えています。
実は、ここが注意点です。(1)では「上場、、、譲渡所得等」、(2)では「上場、、、譲渡所得」となっています。((1)は「等」あり、(2)は「等」なし。)
「上場株式等に係る譲渡所得等」とは
(A)「上場株式等に係る事業所得」:事業規模でガチで売買してる人
(B)「上場株式等に係る雑所得」:副業的に売買をしている人、信用取引もココ
(C)「上場株式等に係る譲渡所得」:たまたま持ってた株を売った人
の3つの所得をあわせたものを言います。配当との損益通算を受けることができるのは、(C)のみということになります。
さて、本題のファンドラップの注意点ですが、ファンドラップは申し込むと定期的に勝手にリバランスをし、そこで手数料をとるというキャバクラ真っ青なボッタクリをしてきます。それに加えて「口座管理手数料」として、これまた「資産総額に対して何%」という恐怖の取立てをしてきます。(「投信の運用手数料」「リバランスの売買手数料」「口座管理手数料」と三種の神器が揃った証券会社にとって夢の金融商品です。顧客にとっては賽の河原のような地獄コンテンツですが、、、)
そして、この「口座管理手数料」はあくまでも口座を維持するのに支払っている手数料なので、リバランス時の譲渡経費にすることが出来ません。つまり、ファンドラップをするために払ってるのに、税金的には全然得にならないわけです。
コレに対して証券会社の営業マンが必ず言うのが「確定申告をすれば口座管理手数料分の税金は返ってきます。」という台詞です。コレを聞くと「別で持ってる株の配当もあるから、例えこっちが赤字でも、損益通算で戻ってくるかな、、、」と思ってしまいます。しかしこの台詞はぶっちゃけ「嘘」です。
詳しく書いているとキリがありませんが、予備知識のところで書いた3種類の所得には次ような違いが有ります。
「事業所得」「雑所得」・・・経費概念がある。(口座管理手数料を儲けから引くことができる。)
「譲渡所得」・・・経費概念がない。(口座管理手数料を儲けから引くことが出来ない。)
つまり「口座管理手数料を引ける。」と「配当や他の株式の売却益と損益通算ができる。」はトレードオフの関係にあるわけです。
※「他の株式の売却益」との損益通算については、そもそも同じ所得区分なので通算になります。
ファンドラップの特定口座内での処理はリバランス時に生じた損益を譲渡所得として「配当や他の株式の譲渡益と損益通算をする。」ようになっています。
これを口座管理手数料が引けるように確定申告をすると、雑所得にクラスチェンジをする必要があり、その結果「配当や他の株式の譲渡益と損益通算は出来ない。」ことになります。
(令和4年の税制改正により「特定口座、源泉徴収あり」を選択している口座でファンドラップを行っている場合には、特定口座内で口座管理手数料が引くことが可能になったため、結果として、損益通算や損失の繰り越しが可能になっています。)
※ファンドラップは「定期的にリバランスをする。」ため事業的な要素を持っていると判断できるようです。
このため、「ファンドラップの口座管理手数料は、確定申告をしても、ファンドラップで儲かった分しか引くことが出来ない。」という結論になります。
儲かっても毟られ、損すれば丸損、それがファンドラップです。(指数ベースのフリーETFを複数種類買って自前でポートフォリオを作ったほうがずっとマシです。)
まあ、ファンドラップをやると証券会社の営業マンが定期的に来てくれたりするので、美人やイケメン営業マンであれば、、、まあそういう手数料だと思って支払うのもありかもしれませんが、、、
ファンドラップの魅力は、どこの証券会社のホームページにも書かれているので、「口座管理手数料を持ち出しても十分リターンが得れる。」と感じられるほど魅力的なファンドラップがあれば契約してみるのもいいかもしれません。