皇室の結婚のニュースを見ながら、「結婚したらいつ頃マイナンバーを貰えるんだろう?年末調整に間に合うのだろうか?」とか思ってしまう宮内庁ならぬ年調モードの今日この頃です。
※マイナンバーのトリビア※
皇族の方は、「戸籍簿」ではなく「皇籍簿」の管轄なので、戸籍基づき付されるマイナンバーは無いそうです。降嫁すれば皇籍離脱になるので、マイナンバーが付されるそうです。
(私がお客様とマイナンバーを話すときには必ず触れる鉄板ネタです。(笑))
ということで、今日の内容も年末調整にちなんだ内容となります。
ずばり「iDeCo」です。
この「iDeCo」、元々あった「個人型確定拠出年金」という制度に愛称をつけただけで、中身も手続きも基本的に変更点はありません。証券会社がこの愛称と節税効果(?)を連呼するので、なんだか新しいもののように見えているだけです。
ざっくばらんに言うと、厚生年金に加入していない個人事業者などが、俗に言う「2階部分」の年金を自分で積み立てる制度です。
詳しい内容については「イデコ公式サイト」を読んでいただければ分かりますが、それだとFPとしていかがなものかと思うので、メリットとデメリットを簡単に書いてみます。
<メリット>
1:「小規模企業共済等掛金控除」を受けることが出来る。
昨日触れた「基礎控除」と同様に「合計所得金額」から控除することができます。(控除なので、他の控除で所得が0になってる場合には効果はありません。)
2:掛金の運用益は「非課税」
通常、運用益には20.315%の税金がかかりますが、iDeCoはかかりません。複利運用においては運用対象額の増加につながるので、運用上かなり有利になります。
3:受け取りの際は「退職所得」または「雑所得(年金)」として扱われるため、一定の優遇がある。
退職所得は「(退職金収入-勤続年数に対応する金額 ※ )÷2」になるため所得金額が抑えられる上、分離課税なので他の所得とは合算せずに5%からの累進税率が適用されるため、収入金額に比べ税額が少ないという特徴があります。
※ 勤続20年まで「年40万」、勤続20年超「800万+超えた年数×70万」
また、「雑所得(年金)」については給与所得控除と同様の控除制度があるため、所得金額が低く抑えられる特徴があります。(ただし、国民年金や厚生年金との合算額から控除されることになるため、国民年金や厚生年金が控除額を上回っていれば、メリットはまったくありません。)
一応iDeCoの公式サイトにメリットとして書いてあるので載せましたが、1と2がメリットというのは「嘘」です。
上記メリットを翻訳すると「給与が減る代わりに、iDeCoという会社で退職金を積み立てている。」となります。よって、退職金を受け取った際に、受け取る方法(一時金・年金)に応じて課税しているだけなので、課税の繰り延べに他ならず、メリットとはいえません。
(まあ、「貰ってないものには税金を課さない。」というのを嬉しいと感じるのであればメリットかもしれませんが、、、そもそも貰ってないのに喜ぶのかと突っ込みを入れたくはなります。(笑))
<デメリット>
1:最低でも60歳まで引き出せない
まあ、基本のコンセプトが退職金なので、退職しない限りは下ろせません。普通の会社であれば早期退職もありますが、iDeCoは60歳退職が基本です。(加入年数により65歳まで伸びます。一応、自分が死ねば戻ってきますが、、、)
2:運用の損失は自己責任
「自分で運用の指図が出来る。」+「運用益で退職金が増える。」で、バラ色っぽく演出していますが、もし運用益が出せるような才能が有れば、普通に資産運用するので良いのではないか思われます。
つまり、「運用の損失は自己責任」になるパターンの人が圧倒的に多いのではないでしょうか。さらに「運用益は非課税」というのも「運用の損失を他の所得と通算できない。」と読み替えたほうが正解だと思います。
3:申告しないと2重課税
これがある意味最悪なデメリットです。メリットのところでも触れたようにiDeCoは「小規模企業共済等掛金控除」で課税を繰り延べし、受け取り時に課税する制度です。そして、「小規模企業共済等掛金控除」は年末調整か確定申告で申告しない限り受けることは出来ません。
つまり「控除を受けれてお得」ではなく「控除を受けないと税額UP」ということです。(ポイントUPと違って嬉しさはまったくないですが(笑))
さて、メリットとデメリットに触れたので、最後にiDeCoの利用の際の注意点を書いておきます。
注意点1:年末調整か確定申告で必ず「小規模企業共済等掛金控除」を受けること。
これを忘れると致命的なのでiDeCoを利用している場合には必ずやるようにしてください。後で気づいた場合には税理士に相談することをオススメします。
注意点2:「控除」なのを忘れずに
先日の投稿でも言及しましたが「控除」は0円までしか出来ません。iDeCoの上限は加入している年金等により異なりますが、最大月額68,000円(年816,000円)です。他の控除や基礎控除を引いた後の所得が816,000円未満の場合には、「小規模企業共済等掛金控除」の所得税上の効果は減ってしまいます。積み立てた金額は60歳まで戻ってきませんし、iDeCoの積立額の変更は「年1回」しか出来ません。iDeCoの設定をする際には「自分の所得の状況」を十分に把握した上で行うことをオススメします。
注意点3:加入状況を把握しておくこと
iDeCoは自己指図で運用が行われます。自分がどんな指図をしているかは常に意識しておきましょう。また、死亡時には遺族が一時金を受け取れるため、加入していることを家族に伝えておくことは重要です。(まあ、iDeCoの運用先から遺族に連絡は行くと思いますが、、、)
以上iDeCoについて書いてきましたが、掛け金のうち「年間1,236円」が国民年金基金連合会に持っていかれます。信託報酬は「年間約0.3%~2%」、事務委託先手数料も「年間768円」取られるため、運用上のメリットはそれほどありません。(下手をすると普通にノーロード投信を買ったほうがいい場合も)
ただし、「計画的に積み立てる」という点では優れているため、将来の不安対策など、人生設計の一部として加入するのはありなのかもしれません。
<追記>
国民年金の減免措置を受けている場合にはiDeCoを利用することは出来ません。(貧しい人にこそ優遇策が必要だと私は思うのですが、、、)