年末調整や確定申告で記入する「住所」と「居所」

となりのお宅がここ2週間ほど家屋のペンキ塗りをしていて、今日周囲を囲っていた覆いが取り払われたのですが、中から出てきたのは「赤い屋根、黄色い2階壁、赤い1階壁」という、まるでスペインの国旗のような家でした。なかなかすごいセンスだなと、お隣さんを見直してしまいました。

さて、今日の内容は「家屋」とは切っても切り離せない「住所」と「居所」です。(今日もなかなか強引にいってみます。)

先日、私の所属する税理士事務所のお客さんから次のような問い合わせを受けました。(具体的な名前は当たり前ですが伏せます。)

「従業員の一人が、住民票を実家に置いたまま、別のところに住んでいる。年末調整の申告書に記入する住所は、どこにすればいいのか?」

答えは「どちらでも良いが、複数の勤務先がある場合には統一したほうが良い。」となります。

 

このことを考えるに当たって、まず意識する必要があるのは、「住所」の持つ2種類の意味です。

それは、場所を特定するための情報としての「住所」と、住民票がある場所としての「住所」です。

(以下、区別が付きやすいように前者を「A-A-A」、後者を「住所」とします。さっきの質問内容の「住所」は「A-A-A」です。)

次に、意識するのは「住所」と「居所」の違いです。

「住所」は住民票がある場所であるのに対して、「居所」は実際に住んでいる場所を指します。(普通の人は「住所」=「居所」なので、気にする必要はありません。)

 

扶養控除等申告書の記入欄には「住所又は居所」と書かれており、記入されたA-A-Aが「納税地」となるため、基本的にどちらを書いても問題はありません。(郵便物の送付等を考慮すると居所のほうが都合がいいかもしれません。)

しかし、まったく問題がないかというとそうでもありません。

実は「住所又は居所」を書く際には、いくつかの注意点があります。

<注意点1> 給与支払報告書がA-A-Aのある市町村に送られる。

会社は源泉徴収票を作成する際に、同時に給与支払報告書を作成し各市町村に提出します。この給与支払報告書に基づき市町村は個人住民税を課税するため、個人住民税を納める先がA-A-Aのある市町村となります。納税先の意向がある場合には注意してください。(ちなみに、住所と居所で二重課税をされるようなことはないため安心してください。)

※納付のトリビア※

個人住民税の場合、「指定金融機関」や「収納代理金融機関」以外で納める場合、「手数料」を取られます。特別徴収が行われる場合には、会社の利便性などの問題(口座の有無や立地条件)により手数料を会社が負担することになる場合もあるので、記入前に会社に相談しておくことをオススメします。

<注意点2> 税務署や市役所等からの問い合わせ等はA-A-Aに行われる。

年末調整も申告書の一種であるため、年末調整の際に記載したA-A-Aで申告を行ったものとされます。よって、申告に付随する問い合わせや通知は基本的にはA-A-Aに対して行われます。住民税が給与から天引きされる特別徴収の場合には気にする必要はありませんが、自分で納付書を使って収める普通徴収の場合にはA-A-Aに納付書が送られて来るので特に注意が必要です。

<注意点3> マイナンバー資料とA-A-Aが異なると色々と面倒

給与支払報告書には「マイナンバー」も記載されています。そのため、マイナンバー資料に書かれているA-A-Aと給与支払報告書に書かれているA-A-Aが異なる場合には、必ず問い合わせが来ます。会社側で確認を取る必要があるため、事前に会社に伝えておくことが重要です。

また、医療費控除などを目的として確定申告を行う際に、添付した源泉徴収票と申告書に記載したA-A-Aが異なると、すぐに受理をしてもらえず、手続き等が必要になる場合があります。

 

書いている自分が言うのもなんですが「一体何を言いたいんだ?」という内容になっているかもしれません。(普通は「住所=居所」なので縁がない人が大半です。)

それでも書いたのは、「既存の申告制度(住所と居所)」に「マイナンバー制度(住所)」が加わったことで、「イレギュラー(居所)への対応が非常に面倒になっている。」ことを伝えたかったからです。

よって、〆の一言は、、、

「引っ越したら住民票の移動も忘れずに。」

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