消費増税から1か月

消費増税から1か月がたちましたが、ポイント還元制度の導入や、キャッシュレス決済の影響で「そもそもこの商品の値段はいくらか?」が曖昧にされてしまい、目に見えた増税の影響を感じない今日この頃です。

コンビニで129円のペットボトル(特別に20ポイント還元)を買った後で、夕食の買い出しに行ったスーパーで同じ商品が88円で売られているのを見ると、消費増税に対して憤るより、コンビニにボッタクられていることに憤りを感じるべきなんじゃないかと思ったりもします。

「消費増税による値上げはしません。」と書かれたポスターを見ながら、「こっそり値上げ自体はしてるんじゃないか?」と感じるお店はちらほら見かけます。だまされる私たちが悪いのですが、情報操作の恐ろしさを感じずにはいられません。

消費増税に伴う駆け込み需要については、前回の増税の時ほどは無かったことで、スムーズな増税として評価する人もいるようですが、「駆け込み需要で買い込むための資金的余裕が国民にないのではないか?」と不安に感じずにはいられません。(刺激して反応するのは元気な証拠、、、死に体だと刺激しても反応しなくなります、、、)

個人的には、9月の中旬に10年来使っていたマッサージチェアに不具合が発生し、修理部品がないことから買い換えたのが消費税の駆け込み需要といったところでしょうか。(つまり、必要に迫られた出費以外はできなかった感じです。)

アメリカの連続した利下げや、日本のさらなる緩和(というか円のゴミ化)、仮想通貨の下落(量子コンピュータの影響はあるでしょうが、、、)、イギリスのEUからの離脱の先延ばしと、経済についてはまさに「お先真っ暗」なニュースが多く、順調な株価の推移を見ながら「まるで水の上を走っている」感じがして株に手を出すことすらできないチキンなFPになってる今日この頃です。

それはそうと、明日11月1日には税理士会主催の税理士事務所職員向け「年末調整説明会」があり、いよいよ税理士事務所は繁忙期に突入するわけですが、そのような繁忙期の中で顧問先から「増税後の毎月の会計資料」が送られてきて、資料整理作業が始まるのも、明日11月1日からといったところになります。

そこで、需要はきっと無いですが、消費増税に伴う「会計資料整理にあたっての注意点」について言及してみようと思います。

<注意点1> 何より重要なのは「8%売上」

消費税の計算において、原則課税・簡易課税の区別なく、税額に直結するのは「課税売上」です。

以前の消費増税においては「契約の状況」等により「増税前の税率が適用される経過措置」がありましたが、今回はこれに加えて「軽減税率として8%」が加わることとなります。

つまり、

「10%(国税:7.8%、地方税2.2%)」

「経過措置8%(国税:6.3%、地方税:1.7%)」

「軽減税率8%(国税:6.24%=7.8%×0.8、地方税:1.76%=2.2%×0.8)」

の3種類の税率があるということになります。

支払う消費者側からすると経過措置も軽減税率も同じ8%ですが、納税する事業者にとっては国税と地方税に0.6%の差が生じるため、「経過措置としての8%」と「軽減税率としての8%」の違いについては正確に把握しておくことが重要となります。

また、いうまでもありませんが消費税の計算は税込経理に基づくものであるため、「8%売上」を「10%売上」として誤処理をしてしまうと納税額に直撃するため、適正な納税のためにも「正確な売り上げ状況の把握」は重要です。

<注意点2> 前月締めの翌月払いの仕入れには注意(原則課税)

飲食店などでは、「納品は毎日であっても、支払いは翌月にまとめて行う。」ことがよくあります。

消費税は基本的に債務確定基準であるため、<注意点1>で触れた経過措置の対象になる場合があります。ただ、このような仕入れは大口の仕入れになるため把握は容易です。(一応10%の適用がある部分も含まれていることがあるので納品書等を確認する方が良いかもしれません。)

会計ソフトの多くは、計上の日付で8%と10%の適用をするため、不用意に処理を行うと「10%の課税仕入れ」が1か月分増えてしまうことになるため、注意が必要です。

<注意点3> 今回に限り土壇場でも出せる「簡易課税制度選択届出書」

飲食業では「売上10%、仕入(食品)8%」になるため、従来「原則課税有利」だった事業者も「簡易課税有利」になる場合があります。

ところが、簡易課税制度の適用を受けるための「簡易課税制度選択届出書」は、適用を受ける課税期間の初日の前日までに提出しなければならないため、今年(今期)に適用を受けるためには去年の末日(前期の末日)までに「今年(今期)の予想をして提出」する必要があります。

普段であれば、簡易課税有利と分かっても「残念無念、また来年(来期)」となるわけですが、今回の増税に伴い例外的に「適用を受けようとする課税期間の末日」までであれば、簡易課税制度選択届出書を提出することができるようになっています。(あくまでも「提出期限の特例」なので調整対象固定資産の仕入等の簡易課税の適用を受けれない場合については提出はできません。)

個人事業者の場合には12月31日になるため、3か月の影響がどれほどになるかはわかりませんが、選択肢の幅が広がるため、判断材料にはなると思われます。

これらの注意点以外にも、軽減税率の導入に伴う制度の複雑化などにより、今回の消費増税にあたっては様々な制度が導入されています。

国税庁ホームページの下記のページで公開されているので、一読してみてはいかがでしょうか?

消費税軽減税率制度の手引き