この記事を書いている11月11日現在、Yahooでは、「いい買い物の日」の最終盤のキャンペーンで売り込みメールも普段より多いような気がします。メールに書いてある値段を見て、加盟店さんが必死の努力でコストカット(というか損失覚悟)してる事に思いをはせ、「今日買わずに明日普通の値段で買おう。」と考えてしまう私がいました。
さて、今回はこのコストカットの代表選手「人件費削減」による税金等への影響について、少し考えてみたいと思います。
「正社員ではなく、契約社員、派遣社員を使う。」というのは大企業の常套手段ですが、「社員」であることには違いがないため、給与所得となり年末調整で申告は完了となり、「結果を粛々と受け入れる。」しかありません。(それぞれの社員の種類による違いは、専門のサイトをみたほうが分かりやすくていいと思います。)
<企業側メリット(超省略型)>
契約社員・派遣社員:事業展開に応じて人員整理がしやすい。
派遣社員:消費税の課税仕入れになる。(ただし、派遣会社側では課税仕入れにはならない点に注意)
※ 消費税の課税仕入れになる意味(売上:1,080、社員への支払額540の場合)
正社員・契約社員:納付消費税額(1,080-0)×100÷108×8%=80
派遣社員:納付消費税額(1,080-540)×100÷108×8%=40
これは、「給与を対価とする役務の提供」について消費税が非課税であるために生じる違いです。詳しくは、、、読んで楽しめる人は少ないと思うので書きませんが「二重課税防止」が非課税の主な理由です。
一方で中小企業で多いのが「職人等の社員から請負契約への変更」です。この場合「社員」から「個人事業主」へと変わるため、給与所得から事業所得に変わり、確定申告をすることとなります。
この確定申告については「各人の対応の仕方によって税額が変わる可能性が高い。」ため、適正税額=最少税額を目指すための努力が必要です。(先日の投稿で書きましたが、税務署はたくさん払う分にはなにも言いませんが、足りなければ取り立てに来ます。)
<企業側のメリット(超省略型)>
1:源泉税の計算が簡単又は不用なので事務負担が大幅軽減される。
2:消費税の課税仕入れになる。
3:社会保険に入らなくて良い。(企業側の半額負担がなくなる。)←コレが大きい
<個人事業者(元社員)側のデメリット(超省略型)>
1:確定申告をしなければならない。
2:給与所得控除を受けることが出来ない。←コレが大きい
3:収入が1000万を超えると、消費税を納めなければならない。
※ 給与所得控除とは、給与所得から引かれる概算経費のことです。よく「給与103万円までは所得税が課税されない。」と言われますが、これは「給与所得控除65万+基礎控除38万」の金額です。
正直なところ「社員から請負契約への切替」は支給額が同額であれば社員側に有利な要素はありませんが、「事業所得」である点に、多少の活路を見出すことは可能です。
事業所得は給与所得のように概算経費の概念はありませんが、経費の概念はあるため、様々な支払いを経費としてあげることが可能です。(ただし、支払いの種類によっては経費として認められないものもあるため、まずは税理士に相談することをオススメします。)
PR:税理士会では確定申告の時期などに無料相談会を開催しています。是非ご利用ください。
具体的な経費の例としては、、、
(注)以下の内容はあくまでも「所得を得るために使用されたと合理的に判断できる範囲の金額」に限られます。くれぐれも鵜呑みにせず、必要に応じて税理士の判断等を受けてください。
1:スマホ等の携帯電話の利用料金
2:自宅のネット回線及び電話代・切手代・郵便代・宅急便代
3:自動車の修理代・保険料・ガソリン代・タイヤやオイルの交換代
4:服や文房具などの代金
5:自宅の家賃・電気代・ガス代(事務所・作業場として利用面積での按分計算となります。)
6:飲食代(仕事上の関係者との会食代であることが求められます。)
7:お中元等の贈答品(仕事上の関係者に対するものであることが求められます。)
※ 贈答品に関しては贈った相手の記録が必要です。(商品券を身内で使用して租税回避をする事案が多いため、チェックも厳しいです。)
8:自動車、ソファーなどの応接用品、机などの固定資産(減価償却を行います。)
9:電車賃・定期代・高速料・駐車料
10:宿泊費・セミナー参加費・税理士や弁護士への相談料や顧問料・一部の税金
番外:奥さんへの給与(前提条件がたくさんあるため、事前に税理士に相談してください。)
とりあえず、よくある経費を上げてみましたが、多くの人が普段から払っている支払いが多いのではないでしょうか?しかし、社員から請負契約になった人の多くがこれらの支払いの一部しか経費に上げることができません。
なぜかというと、経費として認められる条件として「帳簿の記載」や「領収書の保管」があるからです。
社員から請負契約に変わった人の多くがレシートの紛失や記録忘れなどで管理が出来ず、結果として適正税額=最少税額より多い税金を払うことになります。逆に言えば、うまく管理することができれば社員時代よりも税金を安く済ませることが出来るかもしれません。
その管理として私が勧めるのは、、、最近ステマっぽい感じがして嫌なのですが「クレジットカード」です。各種支払いをクレジットカードで行えば、クレジットカードの明細をそのまま経費資料とすることが出来ます。また、仮に紛失したとしても再発行等が出来るのも魅力的です。
クレジットカードで経費を払う際の注意点としては、、、
1:レシートと違い金額と支払先はあるが、支払の内容はないので、書き加える必要がある。
2:貯まったポイントを使用した場合には「事業所得の雑収入=経費額との相殺」になる。
3:誰かに代わりに買ってもらうことが出来ない。
などが上げられます。ですが、事実上「カード会社が記帳代行をしてくれる。」ことになるので、非常にお得です。(最近はクラウドでレシートを写真で送って記帳するサービスなども出ていますが、月額はやはりかかります。)
私が知る範囲では、建築関係の職人さんが社員から請負に契約を変更されているのが多いです。まあ、職人さんが私のサイトを見るようなことは、サイトの性質上ほとんどありえないと思いますが、もし知合いに職人さんがいれば教えてあげてみてください。
追記:社員から請負になると、当然ですがクレジットの審査は厳しくなります。そこでオススメなのが「楽天カード」です。ネットの評判をみる限り、審査は業界トップクラスの入会しやすさです。また、ポイント付与率も1%と、高水準なのも魅力的です。仕事のお供に1枚いかがでしょうか。
(ちなみに、私は一気にカードを作りすぎてエポスカードの審査で落ちた後、楽天カードの申し込みをしたところ、通りました。まあ、楽天証券と楽天銀行に口座を作ったのがプラスに影響している可能性もあります。)
※ 楽天銀行が発行してる「楽天銀行デビットカード」ならば、審査なく100%作成できるクレジットカード(即時銀行引き落とし)なので、銀行通帳をそのまま帳簿資料にすることができます。一部サービスに制約がありますが、ポイント付与率は楽天カードと同じ1%なので、次善策としてはありです。
“社員から請負に、、、状況を有効活用する道はあるのか?” への1件のフィードバック
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